アメリカへ留学する際は、必ず「F-1ビザ」あるいは「M-1ビザ」のいずれかを取得しなければなりません。
どちらもアメリカに留学する学生のために発行される専用ビザですが、内容が少し異なります。
2種類のビザの内容の違いや申請方法、面接時に必要になる書類など、アメリカ留学に際して欠かすことのできない「ビザ情報」を詳しく解説します。
アメリカ留学で使えるビザの種類は2つ
アメリカへ留学するための学生ビザは「F-1ビザ」と「M-1ビザ」の2種類です。
F-1ビザ
一般的に「学生ビザ」と呼ばれているのが、この「F-1ビザ」です。
語学学校あるいは大学院・大学院などへの留学を目的に渡航する学生に対して発行されます。
原則として、1週間で18時間以上授業を受けることが決まっている人は、滞在期間に関わらず申請が必要とされているため、渡航後アメリカ国内の認定大学、認可語学学校などで学ぶ予定の人は全て対象になります。
M-1ビザ
語学の勉強ではなく、技術を習得する目的で専門学校生や職業訓練生として渡航する人に発行されるのが「M-1ビザ」です。
あくまでも職業のための専門知識やスキルを学ぶことを目的としているため、このビザを利用して語学や学術的なプログラムを受講することはできません。
また、アメリカにはメイクや映画、アートなどさまざまなジャンルの専門学校やプログラムがあり、どのジャンルにおいても「M-1ビザ」が有効ですが、留学中に学ぶ分野を変更することはできないため注意が必要です。
2つのビザの違いは主に修学可能日数・就労条件・切り替えの可否
語学留学用の「F-1ビザ」と専門学生用の「M-1」ビザは、内容だけでなく条件にも違いがあります。
F-1ビザ | M-1ビザ | |
修学可能日数 |
最長5年間 |
最長1年間 |
就労条件 | ①フルタイムの学生であること ※大学の場合は1学期中に12単位以上を選択、語学学校の場合は1週間に18時間以上通学している学生 ②キャンパス内の仕事であること ③1週間に20時間までの就労であること ※例)1日4時間×5日間/週上記に加え、卒業後の一定期間はオプショナルプラクティカル・トレーニング(OPT)としてアメリカ国内の企業で業務研修を受けることが可能です。 |
原則として就労不可 ただし、各プログラム修了後はOPT制度が設けられています。 |
他ビザへの切り替え | 可 | 不可 |
滞在猶予期間 | 学位修了から60日間 | 学位修了から30日間 |
OPTビザ取得後の滞在期間 | 最長1年間 | 最長3ヶ月程度 |
修学可能日数
修学が可能な日数は「F-1ビザ」が最長5年、「M-1ビザ」が最長1年となっています。
いずれのビザも滞在期間は学業開始から修了までと決められており、ビザの有効期限が残っている場合でも学業修了後に目的なくアメリカに滞在することはできません。
就労条件
「M-1ビザ」での就労が一切禁止されているのに対し、「F-1ビザ」は一定の条件下であれば就労が可能です。
自身が通う学校のキャンパス内であれば、雇用主が学校自体ではない書店やカフェテリアなどでも働くことができますが、学校の建物を間借りしているだけの一般オフィスなどでは労働が認められていません。
詳しくは、校内のInternational Student Officeへ相談しましょう。
他ビザへの切り替え
「F-1ビザ」を利用して留学した場合、次に解説する「滞在猶予期間」内であれば他のビザに変更することができます。
手持ちのビザを他のステータスに変更することで、滞在期間を延ばすことが可能です。
残念ながら「M-1ビザ」で渡航した場合は、滞在猶予期間内であっても他のビザへの変更はできません。
滞在猶予期間
「滞在猶予期間」とは、留学生が留学の目的である勉学を修了した後、自国へ帰宅するまでの準備期間としてアメリカでの滞在を許可されている期間で、「グレイスピリオド」と呼ばれています。
「F-1ビザ」の場合は60日間、「M-1ビザ」の場合は30日間と決められており、その期間は勉学から離れて自由に過ごすことができます。
ただし、帰国を猶予期間ギリギリに予定していると、万一何らかの理由でフライトが欠航になった場合など、1日でも出国が遅れると違法(移民法違反)となり、以後アメリカへの入国が困難になるため、必ず猶予期間内に出国しましょう。
OPTビザ取得後の滞在期間
学生ビザで滞在している学生が、各プログラム修了後に専攻分野と関連した職種で企業研修を行うシステムを「OPT」と呼んでいます。
OPTビザを取得後滞在できるのは「F-1ビザ」で最長1年ですが、「M-1ビザ」の場合は【就学期間4ヶ月毎に対して、1ヶ月の就労を許可する】という条件があるため、最長で3ヶ月程度となっています。
アメリカ留学のためのビザ申請手順
学生ビザには「F-1ビザ」と「M-1ビザ」2種類のビザがありますが、いずれのビザも申請方法はほとんど同じです。
不備があると予定通り留学できなくなる可能性もあるので、1つずつ丁寧に手順を踏みましょう。
1.残存有効期間があるパスポートを準備する
ビザの申請には、アメリカでの滞在予定期間に加えて6ヶ月以上残存期間があるパスポートを所有している必要があります。
2.証明写真を用意する
申請を行う際、証明写真が1枚必要です。
以下のように要件が決められており、基準を満たさない場合は申請が大幅に遅れる可能性があるので注意しましょう。
6ヶ月以内に撮影した背景が白のカラー写真
眼鏡を着用した写真は不可
顔や背景に影がない
3.面接予約をする
面接の予約は、在日米国大使館・領事館が管轄する「グローバルサポートサービス」のウェブサイトあるいはコールセンターを通じて行います。
国内で面接を受けることができる都市は、以下の通りです。
・大阪アメリカ総領事部
・沖縄アメリカ領事部
・福岡領事部
・札幌領事部
4.留学受け入れ機関から発行されるI-20を入手し提出する
アメリカ留学に際して、パスポート・ビザと並んで重要となるのが「I-20」です。
「I-20」は、入学が決まると留学先の学校から送付される在学証明書(在留資格証明書)のことで、入学予定の学校を通じてアメリカ政府から発行されます。
この「I-20」は政府から認可された教育機関でなければ発行されないため、留学の際は認定校を選ぶことが留学の必須条件です。
入手方法は留学先の学校によって異なるため、学校のホームページなどで確認し手続きを行います。
発行された「I-20」は、面接で必要です。
コピーではなく、必ず原本を持参しましょう。
「I-20」には、氏名や国籍などの基本情報の他に、学校名や履修学科、コース期間、銀行残高などさまざまな情報が記載されています。
入国の際にも必要になるため、パスポート・ビザと一緒に保管しましょう。
5.SEVIS費用を支払い確認書類を提出する
「SEVIS」とは「Student and Exchange Visitor Information System」の略で、米国国土安全保障省が運営する留学生管理システムのことです。
管理費はビザ申請者が負担することになっており、「F-1ビザ」「M-1ビザ」いずれも200ドルです。
面接時に必要な書類
ビザ申請に際して、面接時に提出する書類は以下の通りです。
また、英語以外で記載された書類は、全て翻訳文の添付が義務付けられているので注意が必要です。
1.パスポート
申請する時点で有効なパスポートが必要です。
また、過去10年間にパスポートを発行したことがある場合、古いパスポートも提出しなければなりません。
パスポートの有効期限は「I-20」に記載されている期間に加え、6ヶ月以上残存期間があることが条件なので確認しておきましょう。
2.証明写真
前述した通り、要件を満たした証明写真が1枚必要です。
注意点は「眼鏡を着用しないこと」「背景が白であること」の2点です。
特に、日本の証明写真は「青い背景」が一般的なので、必ず「白い背景」で撮影したものを提出してください。
3.財政証明書
アメリカへ留学する際には、授業料や生活費、その他諸経費を含む1学年分(夏学期・夏季休暇中の費用を含まない9ヶ月分)の経費を、滞りなく負担できるということを証明する必要があります。
そのため、ビザ申請時に「財政証明書」を提出しなければなりません。
「財政証明書」には、残高証明書や預金通帳原本、スポンサーが発行する保証書などが含まれます。
残高証明書は、銀行で依頼すれば英文で作成してもらうことができます。
親などがスポンサーになる場合は、保証書と併せて本人名義の預金口座の残高証明書の提出が必要です。
4.I-20
ビザ申請時には、先で説明した「I-20」が必要です。
郵送に時間がかかる場合があるため、通いたい学校が決まり次第学校に問い合わせ、早めに入学許可と「I-20」の発行手続きをしてもらいましょう。
5.DS-160
学生ビザの申請に欠かせないのが「DS-160」です。
全てオンライン上で手続きを行いますが、複雑な操作に加え膨大な量の質問が設定されているので、ビザの申請書類の中でも作成が最も困難と言われています。
通常、作業に1時間半ほどかかるため、保存しながら手が空いた時に進めましょう。
その際、証明写真のデジタルデータが必要です。
また、手続きの最後に表示される確認ページはビザ申請時に提出しなければならないため、必ず印刷しておいてください。
6.SEVIS費用支払証明書
「SEVIS」の費用は、「I-20」に記載されている「SEVIS ID」を元にオンラインで支払いを行います。
その際、表示される領収書が「SEVIS費用支払証明書」になります。
参考:SEVIS費用支払いサイト
7.留学終了後本国に帰国することを証明するもの
アメリカ留学で学生ビザを申請する際、最も重要になるのが「帰国する意思」です。
学生ビザが「非移民ビザ」に分類されていることから分かる通り、留学はあくまでも一時的な渡航であり、いかなる理由があっても、はじめからアメリカ国内に留まるつもりで渡航することは禁止されています。
そのため、面接では「帰国する意思」を確かめるとともに、証明するものの提出を求められることがあります。
ここで「帰国の意思が弱く移民になる可能性がある」と判断された場合、ビザは発給されないので注意が必要です。
ビザ申請が却下されてしまう理由はいくつかありますが、中でも「資金が少ない人」や「日本で定職に就いていなかった人」などは要注意です。
留学中に資金が尽きて不法労働をするのではないか、などと疑われる要因になるためです。
帰国の意思を証明するものとしては、日本にある財産の証明や日本の企業や学校への復帰予定が記載された書類などが有効です。
財産があり資金に余裕がある場合は、前述の「財政証明書」も自国との繋がりを証明する書類として利用できます。
両親や家族の残高証明書と、それを本人が使用してもいいという内容が書かれた許可書があれば安心です。
まとめ
アメリカ留学を決めたら、語学留学は「F-1ビザ」、専門学校留学は「M-1」を申請する必要があります。
それぞれのビザは目的だけでなく、有効期限や就労条件など内容が異なるため注意しましょう。
申請の手順はほとんど同じですが、いずれも不備がないように繰り返し確認することが大切です。
FlyOut編集部
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