留学支援の奨学金には、返済義務のあるもの、返済義務のないもの、日本政府主導のものから海外政府主導のものまで、幅広い種類の奨学金があります。

それぞれの特徴をしっかりと理解し、「自分の目的に合った奨学金かどうか」を見極めて申し込むことが大切です。

申し込めば必ず支給される訳ではなく、具体的に留学中にどのように使用するのか、その奨学金をもらうことで何を実現したいのか、を考えるようにしましょう。

 

留学を支援する奨学金には2つの種類がある

留学支援のための奨学金には「返済義務のない給付型の奨学金」と「返済義務のある貸付型の奨学金」が存在します。

 

返済義務のない給付型の奨学金

留学支援を受ける際、最初に検討したいのが「返済義務のない給付型の奨学金」です。返済義務のない留学資金を受け取ることができるのが特徴です。

ただし返済義務がないだけに給付金を受ける際のハードルが高いことが多く、倍率についても高いことが多いです。

 

返済義務のある貸付型の奨学金

返済義務のある貸付型の奨学金は「教育ローン」とも呼ばれています。教育ローンのため返済をしなければならず、金利もかかることが特徴です。

返済義務のない給付型奨学金と比べると倍率が低く、条件も満たしやすいです。

 

国内の政府主導の留学支援制度

黒板に奨学金の文字

まずは日本政府主導の留学支援制度です。

 

JASSO

文科省所管の独立行政法人である日本学生支援機構(JASSO)が行っている留学支援給付金です。学生支援という名前の通り、各種留学に関する奨学金制度があります。

応募資格や条件についてはハードルが高い傾向にありますが、奨学金制度の種類が多いため自分が要件を満たせる奨学金制度を見つけられる可能性が高いです。

 

文部科学省トビタテJAPAN

文科省が行っている給付型奨学金制度の中で最も認知度の高い奨学金制度です。

「グローバル人材を育成する」というミッションの元、留学を考える人に奨学金を給付しています。

 

また支援対象も幅広く、

 

  • 渡航費
  • 留学研修会の旅費
  • 学費

 

など、留学でかかる費用のほとんどをカバーしてくれます。

 

日本政策金融公庫

給付型奨学金を提供しているのが日本政策金融公庫です。給付条件としては以下のようなものがあります。

 

  • 中学校卒業以上の学歴
  • 「留学(修業)期間6ヶ月以上

 

給付対象としては、

 

  • 入学金
  • 授業料
  • 受験費用
  • 住居費用
  • 教材費用

 

など、先ほどの「文部科学省トビタテJAPAN」以上の支援を行ってくれます。

 

経団連グローバル人材育成 スカラーシップ奨学金

「使途は限定せず、留学中に自己研鑽や見聞を広め多様な経験を積むための資金」として100万円の留学費用を支援してくれるのがこちらの奨学金です。

応募時に経団連が指定する日本の大学2〜4年生、もしくは大学院博士前期課程1〜2年生であることが必須条件となります。

求められる基準も高く、例年30名程度までしか給付されないほど倍率が高いですが、使途が限定されないという点が魅力的な給付金です。

 

海外の政府主導の留学支援制度も利用できる

ノートに奨学金の文字

次に海外政府主導の留学支援制度です。

 

アメリカの留学支援制度

アメリカ政府が行う留学支援制度には以下のものがあります。

 

  • フルブライト奨学金
  • フルブライト語学アシスタントプログラム(FLTA)奨学金

フルブライト奨学金

最長5年間の博士課程、最長3年間の修士課程期間の留学支援を受けられる奨学金制度です。

また研究員やジャーナリストとして1年間の奨学金支援を受けることも可能です。

他にも「エンリッチメントプログラム」と呼ばれるフルブライト奨学生との交流会などに参加する権利が与えられます。

 

フルブライト語学アシスタントプログラム(FLTA)奨学金

アメリカにある大学の中で日本語を教えながら9ヶ月間、留学をすることを支援している奨学金制度です。

英語で「日本語」を教えることで英語スキルを伸ばしながら、アメリカの文化についても学ぶことができる留学支援制度で募集人数は15名です。

 

カナダの留学支援制度

カナダ政府が行う留学支援制度には以下のものがあります。

 

  • ヴァニエ・カナダ大学院奨学金
  • 高円宮記念クィーンズ大学奨学金
  • バンティング博士研究員奨励金

ヴァニエ・カナダ大学院奨学金

大学院で優秀な学術的成果をあげている学生に対して行われる留学支援制度です。

カナダ本国の学生と海外の学生のどちらをも対象としており、「1年間で50,000カナダドル」の給付を受けることができます。

最大3年間まで奨学金制度を利用できます。

 

高円宮記念クィーンズ大学奨学金

日本の大学に通っており2〜3年生の大学生を対象とした給付金制度です。奨学金制度の給付条件を満たした学生に対し、1年間カナダ・クィーンズ大学に留学する支援を行います。

奨学金の支給額は「38,000カナダドル」と規定されています。

 

オーストラリアの留学支援制度

オーストラリア政府が行う留学支援制度には「エンデバー奨学金」と呼ばれるものがあります。

 

エンデバー奨学金

オーストラリアの教育訓練省が行っている留学支援制度です。

国際的に教育・職業訓練を支援する目的で行われている制度であり、以下のような支援を受けることができます。

 

  • 旅費 3,000オーストラリアドル
  • 生活費 3,000オーストラリアドル(1ヶ月あたり)
  • 健康保険
  • 学費

 

こちらの「エンデバー奨学金」には以下の4種類があり、それぞれに内容が異なりますので応募前にチェックをしておきましょう。

 

  1. エンデバー大学院リーダーシップ・アワード
  2. エンデバー研究リーダーシップ・アワード
  3. エンデバー専門技術リーダーシップ・アワード
  4. エンデバーエグゼクティブ・リーダーシップ・アワード

イギリスの留学支援制度

イギリス政府が行う留学支援制度には「英国外務省チーヴニング奨学金」と呼ばれるものがあります。

 

英国外務省チーヴニング奨学金

英国外務省チーヴニング奨学金とは、イギリスの外務省が1年間イギリスの大学院で修士号を取得する支援を行う給付金制度です。

駐日英国大使館によると、こちらの奨学金の対象者は以下の分野に関する有力なリーダー、もしくは新興リーダーに限られています。

 

  • 地球的規模の課題(公衆衛生、気候変動、環境問題)
  • 防衛と安全保障(サイバー含む)
  • エネルギー
  • プロスペリティ(経済、商業、金融政策)
  • 科学技術等を含む様々な分野

 

知名度は低いものの日本ではすでに200名以上の奨学生を輩出しています。

 

地方自治体が主導となっている留学支援制度もある

政府ではなく地方自治体が主導となって行われている留学支援制度も存在します。

 

  • 荒奨学資金貸付金
  • 「埼玉発世界行き」奨学金支給制度
  • 戸田市(埼玉県)海外留学奨学基金
  • ぐんま国際教育財団
  • 山梨県アイオワ姉妹友好地域特別奨学金
  • フィンドレー大学・福井県奨学生
  • 三重県私費海外留学生奨学金
  • 四日市市科学教育奨学金
  • 松本・土井アイリン海外留学助成金
  • 淀江町青少年ゆめ基金活用事業(海外留学助成事業)
  • ヒロシマ・スカラシップ
  • 広島県未来チャレンジ資金
  • 福岡県アンビシャス外国留学奨学金
  • 佐賀県高校生海外留学等助成事業金
  • 沖縄県国際交流・人材育成財団 留学貸与奨学金

留学支援制度を利用するときに確認するべき3つのポイント

 

留学支援制度を利用する際に確認しておくべきポイントは主に3つあります。

 

POINT

留学の目的と支援内容が合致しているか

検討している留学支援制度の対象に選ばれる条件を満たしているか

留学時の金銭的負担がどこまでされているか

 

 

留学の目的と支援内容が合致しているか

自分自身の留学の目的と留学支援制度の内容が合致しているかを確認しましょう。

ほとんどの留学支援制度が奨学金を給付する代わりに留学の内容が規定されています。

そのため、自分自身の留学目的と留学支援制度の内容が異なれば、自分が留学に求めていることができない可能性があります。

 

検討している留学支援制度の対象に選ばれる条件を満たしているか

上記でも紹介してきた通り留学支援制度それぞれに条件があります。

いくら留学支援制度に申し込んでも規定の条件を満たしていなければ、給付対象者として選ばれることは難しいでしょう。

 

留学時の金銭的負担がどこまでされているか

留学時の金銭的負担範囲についても確認しておきましょう。

学費のみの留学支援制度もあれば、渡航費・生活費なども支援してくれる制度も存在します。

もちろん好条件の留学支援制度ほど倍率が高い傾向があります。

 

今回は留学支援の奨学金の2つのタイプと具体的に留学支援を行っている機関、海外の政府が留学支援を行っている制度、そして留学支援の奨学金を利用する際のポイントなどを解説していきました。

留学をする際には、まず給付型の支援制度を利用することができないか確認していきましょう。

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FlyOut編集部

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