最先端の技術が集まるアメリカと、豊かな文化や伝統を感じられるイギリス。どちらも英語圏の留学先として人気が高い国を誇りますが、ビザの仕組みや現地で発生する様々な費用や留学制度など、様々なことを鑑みてどちらを留学先に選ぶか検討が必要です。
しかし、アメリカとイギリスには文化の違いはもちろん、英語の発音の仕方や地域ごとの治安など、一概にどちらがおすすめとは言えません。
今回の記事では、留学先としてアメリカとイギリスが選択肢に上がったときに、両者を比較する上で参考になる情報を学費・ビザの取得難易度・英語の違いなどの観点からお届けします。
目次
アメリカとイギリスの留学を学費や生活費などの様々な観点から比較
まずはアメリカとイギリスの留学における違いや、発生する費用などについて比較していきます。
留学費用
アメリカもイギリスも、留学費用はアジア圏などの国々と比較すれば高額です。学費や家賃、生活費など、留学時に発生する大まかな費用についてご紹介します。
アメリカ
学費
私学や国公立かの違い、地域や学部によって大きく差があります。年間のおよその学費は以下のとおりです。
2年制国公立:約30万円
4年生私立:約300万円
名門私学:500~数千万円
このように、日本の学校と比べるとかなり学費が幅広く、名門私学に進学しようとすれば、日本の私立大学4年分相当の学費が1年でかかることもあります。
家賃
都心部は特に高額で、最低でも10万円程度を想定しておくと良いでしょう。
毎月の固定費である家賃を抑えるなら、地方移住やルームシェア、ホームステイ、寮生活の検討が必要です。ルームシェアをした場合は家賃3万円程度になります。
寮生活やルームシェアは一人の時間というプライベートはなくなりますが、その分日常的に外国人とコミュニケーションをとれる機会に恵まれるため、短期間で英語力を飛躍的に伸ばしたい方にはおすすめです。
生活費
地域によって物価に差がありますが、だいたい日本と同じような物価のため、月に約5万円あれば最低限の生活は遅れるでしょう。
また、アメリカにはワーキングホリデーの制度がなく、学生ビザでの就労は禁止されているため、留学しながら留学資金を稼げません。
渡航前に必要な資金を予め準備し、現地でも無駄な出費は控えましょう。
イギリス
【学費】
国公立か私学かで学費に差はありますが、アメリカよりは比較的安くなります。
また大学の学部は3年制なので、日本やアメリカと比べると1年分少ないのが特徴です。年間の学費の目安は以下の通りです。
3年制国公立:約100~150万円
3年制私立:約150~300万円
学部(3年制)だけなら、通う期間が日本やアメリカと比べ1年間短いですが、学費の相場は日本の私立大学のそれよりも高く、結果的に3年通えば1,000万弱かかることもあります。
【家賃】
ロンドンの家賃の平均は10万円程度~です。ロンドン市内であっても安い物件を見つけたり、ルームシェアをしたりすれば、8万円弱で生活することも十分可能です。
郊外ならば6万円前後で住めるので、家賃の節約を重視するなら中心地以外を選択しましょう。
ルームシェア・ホームステイ・寮に入居することで、毎月の固定費を節約しながら家でもコミュニケーションをとれるような環境を作るのも賢明です。
【生活費】
イギリスでの生活費も、家賃以外に5万円程度はかかると考えておきましょう。比較的物価が高いため、ホームステイなどで食費を抑えるのもひとつの方法です。
またイギリスではワーキングホリデービザを取得することができますが、年間1,000人までとなっているので(2019年3月現在)、取得できない前提で考えておいた方がいいでしょう。
大学での滞在期間や学べる内容
アメリカ・イギリスを留学先の選択肢にするならば、両国で学べることや在校期間を事前に把握し、自分のプランに添った学校を選ぶ必要があります。
特に後述のイギリスはビザの取得が難しく、入国までに苦労することも多いため、イギリスへの留学を希望するのであれば必要な準備は滞りなく済ませておきましょう。
アメリカ
期間は学部4年、修士3年、博士5~7年となっています。さまざまな学部があり、在校期間も長いことから、時間をかけて専門領域を極められる一方、短期間で幅広い分野の知見を広めるなど、多様な留学スタイルを選べる点が特徴です。
スポーツ教育に特化した学校も多く、とにかく自分の専門分野を極めたいという人にはアメリカがおすすめと言えます。
イギリス
期間は学部3年、修士1年、博士3年で、アメリカや日本に比べて期間は短い点が特徴です。
短期間で自分が極めたい専門分野について、徹底的に学びたい方には向いていると言えます。
ビザやワーホリの取得難易度
ビザ取得の難易度や、ワーキングホリデーの有無についてご紹介します。
アメリカ
日本とアメリカ間には「査証(ビザ)免除プログラム」が実施されており、90日以内の滞在ならビザは不要ですが、テロなどの影響により随時変更されることが予想されます。
そのためビザに関しては定期的なチェックが必要です。
90日以上滞在し学校に通う場合は、「学生ビザ」を取得しましょう。学生ビザを申請するには「入学許可証」が必要となります。
また、アメリカにはワーキングホリデーの制度はありません。学生ビザを取得すれば限られた期間の労働が認められるケースがありますが、フルタイムの労働は許可されておらず、在校期間などの制限があるため、あくまで「勉学」を目的とした留学であることを忘れないようにしましょう。
イギリス
イギリスはそもそも入国自体が厳しい国です。ビザの種類によりますが、取得は点数制になっており、足りないとビザを取得することができません。
留学を目的としたビザは、「学生ビザ(長期/ポイント制)」「短期学生ビザ(6ヶ月まで)「短期学生ビザ(11ヶ月)」の3種類があります。
長期のビザでは英語力・財政証明が必要になり、入学許可証は全てのビザで必要になります。
現在、イギリスでのワーキングホリデービザを獲得できるのは、年間1,000人までと制限が設けられており、人気が高いため抽選で選ばれます。
また語学格好の学生はワーキングホリデービザが取得できない、年齢18~30歳まで、など制約が多いため、ワーキングホリデーを前提とした留学はおすすめしません。
留学先の治安については事前の情報収集を徹底すること
留学を考える上で、行先の治安や情勢については常にアンテナを張る必要があります。
危険な目に遭わないにも、現地の生活様式や治安について事前に調べて上で渡航しましょう。
アメリカ
アメリカは銃社会でもあることから、決して治安がいいとは言い切れません。
総人口における犯罪の割合は日本と比べ格段に高く、安全な日本での生活に慣れていると、防犯意識の欠如から思わぬ犯罪に出くわす可能性があるので、
・治安の良くない地域には行かない
・夜遅くに出歩かない
・貴重品や高価なものを見えるように身に付けない
など、最低限の防犯意識を持ち、自分の身は自分で守ることを徹底しましょう。
参照:海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_221.html参考文献
気候は都市によって全く違います。またアメリカは多くの人種や文化が入り混じっているため、相手の文化的背景を尊重し、日常生活も意識して配慮することが大切です。
イギリス
比較的安全な方ではあるものの、日本人が犯罪の被害に遭う件数は他のヨーロッパ諸国と比べ多くなっているので注意が必要です。
特にスリや置き引きなどの窃盗被害が多いので、荷物を手から離さず、貴重品も見えるように携帯しないよう注意し、身の回りのものをしっかり守ることを徹底しましょう。
参照:海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_154.html
イギリスの気候は1日の中でも変わりやすく、日照時間が短いのが特徴です。曇りや雨の日が苦手な方は過ごしにくさを感じるでしょう。
キリスト教徒が約60%を占める国で、王室に関する文化が根付いています。
留学してくる人々の出身地域
アメリカにはさまざまな国から多くの留学生が集まります。日本・中国・韓国などのアジア系の他、サウジアラビアなどの中東系も多いのが特徴です。
対してイギリスは、日本を含めたアジア系の留学生はあまり多くありません。多いのは、同じヨーロッパ圏のイタリア・フランスなどです。
アメリカ英語とイギリス英語の違いを理解しよう
日本で勉強する英語は、一般的には「アメリカ英語」ですので、ある程度慣れ親しんできた英語を学びたい方はアメリカへの留学をおすすめします。
イギリス英語を初めて聞くと、英語が得意な人でも聞き取れない単語があるなど、両者には明確な違いがあります。
日本人には不慣れな口を動きが求められるアメリカ英語
” R” を発音する際舌を巻くなど、日本語を話す日本人では普段使わないような口の動きをします。
ただアメリカと一言で言っても、日本での方言と同じく、地方に行けばなまりが強すぎて聞き取れないこともあるほど根本的な発音方法が地域によって異なります。
イギリス英語の方が日本人にとっては発音しやすい
アメリカ英語は“R”の発音で舌を巻きますが、イギリス英語ではそこまで巻かずに発音します。発音が平坦な日本語に慣れている人には、イギリス英語の方がかえって話しやすいでしょう。
また、特徴的なのが”plane”など単語中の”a”の発音です。 “plane”(飛行機)は、日本で英語を習った人は「プレーン」と発音すると思います。それがイギリス英語だと「プラン」と発音する人が多いです。(他に例を挙げると”today”は「トゥデイ」ではなく「トゥダイ」など。)
“a”の発音がかわるだけで全然違う言葉のように感じられ最初は混乱しますが、一度その違いを理解すればすぐに慣れることができます。
留学先をアメリカかイギリスで悩んだときに選ぶポイント
悩んだ時は、費用やどちらの言語を活かしたフィールドで将来活躍したいか、といったポイントに重点をおいて検討しましょう。
留学費用はイギリス留学の方が安い
留学費用は、学年数が少ないこともあり、比較的イギリスの方が安く済みます。
アメリカは地域や学校によってかかる金額に大きく差があり、ワーキングホリデーの制度もないため、予算が限られている人は「行きたい学校」よりも「行ける学校」を探すことになります。
イギリスは国公立が充実しており、狭き門とはいえワーキングホリデーの制度もあるので、予算が限られている人にはイギリス留学がおすすめです。
どちらの言語を利用して、どう活かしたいか
日本にいるとアメリカ英語が主流のように感じますが、実はイギリス英語を使用している国の方が多いのです。オーストラリア・ニュージーランド・シンガポールのほか、ヨーロッパで話される英語も一般的にイギリス英語です。
アメリカ英語は、主にアメリカ国内やカナダ、フィリピンなどで使用されています。イギリス英語を使用している国が多いとは言え、アメリカは世界中に絶大な影響力があり人口も多いので、ビジネスで使用するシーンも多いでしょう。
自分が将来的にどのようなフィールドで英語を使用するかを考えて、どちらの国に留学するか選びましょう。
アメリカとイギリスの留学について一覧にまとめました。
アメリカ | イギリス | |
学費 | 約30~数千万円 | 約100~300万円 |
家賃 | 10万円前後(都心部) | 10万円前後(都心部) |
生活費 | 5万円程度 | 5万円程度 |
通う期間 | 4年(学部) | 3年(学部) |
ワーホリ | なし | 年間1,000人まで |
言語圏 | アメリカ国内・カナダ
フィリピン等 |
オーストラリア・ニュージーランド
シンガポール等 |
自分が活躍したい言語圏や、想定される留学費用はもちろん、どちらの惹かれるかなども考えて、後悔しない留学先を選んでください。
Anotherpath
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