留学に向けて資格試験を受けようと考えている人も多いはずです。
実際、世界共通語の英語を、ビジネスで優先的に使用する日本企業も増えています。英会話力が今後、ますます重要視されるのは間違いありません。
日本では英検が有名ですが、英語圏の大学へ留学するにはTOEFLやIELTSなどの資格試験がおすすめであるなど、目的によっておすすめの資格試験は異なります。

留学先で取得できるケースもあるので、留学の前後に受けておくべき資格試験をご紹介します。

留学における資格取得の目的

世界地図

①留学前後の英語力の比較ができる

日本で最も有名な英語の公的な資格試験といえる実用英語技能検定(英検)。
この英検には最高位の1級以下、難易度に合わせてランク付けがあり、英語力の進捗状況によって自分のレベルを把握することができます。

②留学前であれば留学の選択肢が広がる

海外の大学へ留学するには、公的な英語力の認定が要求されるのが一般的です。
アメリカやカナダではTOEFL、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドの場合はIELTSが必要。いずれも留学前に受験しておくことが大切です。

③留学後であれば将来の選択肢が広がる

英語の資格試験はそれぞれ形式が異なり、目的や難易度に応じて海外の高等教育機関への留学ならTOEFLや最も難易度が高くて海外の大学院レベルに進学できるGRE、海外生活を希望する場合はIELTSが最適です。

留学でおすすめの資格試験①:TOEIC®

ノートとペン

世界共通の英語コミュニケーション能力を評価するテストでは人気が高く、聞き取り(リスニング)100問、読解 (リーディング)100問の計200問。身近な話題やビジネスに至るまで、幅広いコミュニケーション能力を診断するのが目的となっています。

テスト形式は、個人に実施して教育試験サービスがスコアを認定する公開テスト (Secure Program Test、通称SPテスト)と、過去の公開テストで出題された問題を用いて学校や企業などの団体で実施される団体特別受験制度(Institutional Program、通称IPテスト)があります。

評価の方法は、聞き取りと読解は各5点~495点までの5点刻み。合否判定はなく、合計で10点~990点というスコアで実力を認定します。受験後に公式認定証(Official Score Certificate)が発行され、有効期限はありません。

TOEICプログラムは世界約150カ国で約700万人が受験しています。日本では公開テストが年10回行われ、受験者は約236万人となっています。

日本の大学や大学院では、英検やTOEFLと並んで受験生の英語能力の判定に用いられることがあります。

正式名称:TOEIC®  Listening & Reading Test
試験日程:年10回(1、3、4、5、6、7、9、10、11、12月)全国約80都市で実施
料金:5,725円 (税込)
級数:10点~990点のスコア制
公式HP:https://www.iibc-global.org/

留学でおすすめの資格試験②:TOEFL®

アメリカの非営利教育団体「Educational Testing Service(ETS)」が1964年に開発。アメリカやカナダの大学で必要な読む、聞く、書く、話すの4つを中心に総合的に判定します。

TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は英語を母国語としない人たちのコミュニケーション能力を測る資格試験です。世界で最も受けられており、アメリカやイギリス、カナダをはじめ、オーストラリア、ニュージーランドにある大半の大学など、世界約150カ国で10,000以上の大学や機関でスコアを採用しています。

このスコアは大学レベルの英語力を測定できるので、アメリカやカナダの大学へ留学を考えている人はもちろん、推薦入学や奨学金、卒業の評価に利用されます。

TOEFLは年間50回以上実施され、これまでに世界中で約3,500万人以上が受験。日本でも大学や教育機関などの学内単位認定や入試、海外派遣の選考基準として利用されています。

大学留学レベルではインターネット版のTOEFL iBT®(Internet-based Test)と改定ペーパー版のTOEFL® PBT (Paper-delivered Test)の2種類の試験があり、日本ではTOEFL iBTテストが実施されています。

①TOEFL iBT®

インターネット形式で試験時間は4時間30分。リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング(各30点満点)を測定し、全セクションでメモをとることができます。

スピーキングではマイクに話して音声が録音され、同時に複数の能力を測定する問題が出題。評価方法は合否ではなくスコア(総合0~120)によります。スコアが上がるほど能力は髙く、有効期限は2年間。受験回数に制限はありません。

②TOEFL PBT®

インターネットが利用できない地域のみで行われ、日本では2007年11月以降、実施されていません。

③TOEFL ITP®

TOEFLと関連した高い団体向けにTOEFL ITP®(Institutional Test Program)があり、このスコアはクラス分けのプレースメントテストや交換留学、学内プログラムなどに使われます。

④TOEFL Junior®

英語を母国語としない中高生向けの英語運用能力を測定する世界共通のテストです。

⑤TOEFL Primary®

英語を学ぶ子どもたちのファーストステップで、英語を母国語としない小中学生が主な対象。結果はスコアとバンドレベル(段階別評価)で示し、受験者の英語運用能力の伸びを測定して、次の目標を持たせることが目的です。

正式名称:TOEFL(Test of English as a Foreign Language)
試験日程:通常は毎週末で年間50回以上
料金:通常235米国ドル
級数:0点~120点の総合スコア
公式HP:https://www.cieej.or.jp/toefl/

留学でおすすめの資格試験③:IELTS®

海外留学や研修で英語力を証明する必要のほか、イギリスやオーストラリア、カナダなどへの海外移住の申請に最適な資格試験がIELTS(International English Language Testing System)です。

世界140カ国、1,000会場以上で受験可能。年齢制限はありませんが16歳以上が望ましいとされ、世界中で年間290万人以上が受験しています。

実践的な英語力が判定されるので、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、カナダの大半の高等教育機関で認められています。アメリカでもTOEFLに代わる入学時の審査で採用する教育機関が3,000以上となっています。

テストは英語で授業するイギリスやオーストラリア、ニュージーランド、カナダの大学や大学院に入学できるレベルに達しているかどうかを判定するアカデミックと、英語圏での研修やカナダ、オーストラリアへの移住申請に一般的なジェネラル・トレーニングの2タイプがあります。

いずれもリスニングやリーディング、ライティング、スピーキングを受験し、所要時間は計約2時間45分。評価は合否ではなく、1.0から9.0のバンドスコアで各パートごとに表示されます。総合評価としてのオーバーオール・バンド・スコアもあり、テスト結果は2年間有効。大学では通常、オーバーオール・バンド・スコア6.0から6.5を入学基準としているのが一般的です。

正式名称:IELTS(International English Language Testing System、アイエルツ)
試験日程:1カ月に平均3回、最大4回
料金:25,380円(消費税込み)
級数:1.0~9.0のバンドスコア
公式HP:http://www.eiken.or.jp/ielts/

留学でおすすめの資格試験④:実用英語技能検定

実用英語技能検定(英検)は文部科学省が後援する資格検定で、最もポピュラーな英会話能力を判定する基準として知られています。語学検定試験としての知名度や信頼性が高く、就職や転職などで企業が評価する場合のベーシックな要素となっています。

日本では広く認められた資格なので、大学や高校入試、教員採用試験などで試験科目が免除されたり、通訳案内士などの資格試験で筆記試験や科目が免除されるなどの優遇も受けられます。

3級以下なら小中生が義務教育中に取得するケースも多く、2級以上なら大学入試や海外留学で有利です。スピーキング能力を測定する正確性は、企業などから高い評価を受けています。

英語に苦手意識が無く、大学や短大で行われる英語の授業に付いていけるレベルであれば、独学でも英検2級の取得は可能。1次試験のリスニングと2次試験の個人面接が課題なので、参考書やCDなどで効果的な学習が必要でしょう。

1級や準1級レベルは本格的な高い英会話能力が必要で、専門学校や通信教育などの専門的な対策が欠かせません。準1級の2次試験ではナレーション、1級ではスピーチテストが実施されます。

正式名称:実用英語技能検定(英検)
試験日程:年3回(1月、6月、10月)
料金: 2,500~8,400円(消費税込み)
級数:1級~5級
公式HP:http://www.eiken.or.jp/

留学でおすすめの資格試験⑤:ケンブリッジ英語検定

日本での知名度は意外に低いのですが、ケンブリッジ大学が実施し、世界約130カ国以上で実施されている国際レベルの英語資格試験。大学などの高等教育機関への留学を考えている場合は、最適とされる試験の1つです。

ヨーロッパを中心に、世界中で通用する英語力の証明になるので、年間300万人以上が受験。ケンブリッジ大学があるイギリスはもちろん、カナダ、オーストラリアなど多くの国の大学のほか、多彩な教育機関や企業に認められています。

基礎、初級、中級、上級、最上級という5段階のレベルがあり、各レベルは次の通りです。

  1. 基礎は日常生活で必要とされる最も基本的なコミュニケーション力。Key English Test(KET)と呼ばれる検定試験を受け、TOEICでいえば約520点、TOEFLで約400点レベルです。
  2. 初級は簡単な日常会話ができる英語力で、Preliminary English Test (PET)を受験し、TOEICで約630点、TOEFLで約480点程度です。
  3. 中級は受験者数が最多で、世界的にも広く知られています。First Certificate in English (FCE)を受け、TOEICで約760点、TOEFLで約550点レベルの実力となります。
  4. 上級はCertificate in Advanced English (CAE)で検定を受けます。TOEIC約870点、TOEFL約610点程度の英語力を業務で使える能力を測定し、多くの英語圏にある大学では入学時に要求される英語力としてCAEを採用しています。
  5. 最上級は実際にネイティブレベルの英語力かどうかを判断され、英語圏の大学のほか、世界各国の様々な機関で認定。Certificate of Proficiency in English (CPE)と呼ばれ、TOEICで約990点、TOEFLで約670点程度の能力が要求されます。

ケンブリッジ英語検定の内容は、英語の知識を使いこなす能力があるかを判断するテストです。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの各能力で、評価はA、B、Cが合格、D、Eは不合格。この資格は一度取得したら生涯有効です。

最も効果的な受験対策や勉強法は、海外留学で実力を磨くことでしょう。

正式名称:ケンブリッジ英語検定
試験日程:グローバル年間試験日程から各試験センターが選んで実施(年間を通じて受験可能。2019年の日曜日実施は3月、5月、8月の予定)
料金:試験の種類や受験場所で決定
級数:一般的なメインスイートは5レベル
公式HP:https://www.cambridgeenglish.org/jp/

留学でおすすめの資格試験⑥:GRE®

GRE(Graduate Record Examinations)のスコアは、修士号や博士号の学位を取得するためアメリカやカナダの大学院に出願する際に提出を求められるのが一般的です。

このテストはネイティブの学生にも課せられており、アメリカの非営利団体ETS(Education Testing Service)が運営しています。

GREは言語能力や分析的なライティング力が評価されるので、キャリアアップを目指せるのが特徴になっています。試験はオンラインで行われており、祝祭日以外は毎日受験できます。

内容は言語能力テストとライティング、数量計算テストで構成され、読解力や作文力、文法力、語彙・熟語力、専門知識などを多彩な角度から判定されます。

評価に合否はなく、ライティング6点満点、言語能力と数量計算テストが各130~170点満点のスコアによる判定。スコアは受験者の点数分布で決まるため、志望校の合格者平均値を目安にするのがベスト。このスコアは5年間有効となっています。

正式名称:GRE(Graduate Record Examinations)
試験日程:祝日を除く毎日実施。ただし、会場や月により異なる
料金:205米国ドル
級数:通所は一般知識を問う General Testのみ(科学系専攻志望者には専門知識を問う Subject Testあり)
公式HP:http://www.ets.org/gre

 

まとめ

英語の資格試験には、留学や就職、海外移住など、資格取得の目的や費用、プランに合わせて様々な試験があります。大学や大学院へ留学するには必須の資格もあり、レベルは独学で勉強できるものから、留学して専門的に習うのが必須のものまで多種多彩です。自分が目標とする留学に必要な資格に応じて受験を考える、もしくは留学の目標の一つとして資格試験の合格やスコアを掲げるのもおすすめです。

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FlyOut編集部

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