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イギリスといえば、ボランティア専用のビザやボランティアホリデーなど、ボランティアに関する制度が非常に多いまさにボランティア先進国。
近年、そんなイギリスにボランティア留学する人が増えています。イギリスでボランティアに参加することで、社会貢献ができるだけでなく費用面を抑えて留学ができたり、現地の福祉活動を学べたりと魅力もたっぷり。この記事では、その魅力と合わせて必要なビザや滞在費用までまとめてご紹介します。

 

イギリスでボランティア活動をするのに必要なビザ

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イギリスでボランティア活動に参加するには、イギリスに滞在するためのビザが必要です。ビザにはいくつか種類がありそれぞれ滞在できる期間や内容が異なるため、必ず自分の渡英目的に合ったビザを取得しましょう。

ビザ名 概要 滞在可能期間 申請費用
チャリティーワーカービザ(Tier 5) イギリス政府に認定されている慈善団体などでボランティアをするための専用ビザ 最長12ヶ月 244ポンド
短期学生ビザ 16歳以上で6ヶ月間あるいは11ヶ月間に限り滞在できる短期専用ビザ 6ヶ月
11ヶ月
97ポンド
186ポンド
学生ビザ(Tier 4) 18歳以上で現地で6ヶ月以上滞在が可能 コース内容による 348ポンド
ワーキングホリデービザ 長期間現地で滞在・就労ができるビザ 最長2年間 244ポンド

チャリティーワーカービザ

チャリティーワーカービザ(Tier5)とは、ボランティア活動に参加することを目的にイギリスに滞在する人のためのビザです。現地では臨時雇用者という扱いになり、ビザ申請時には現地の福祉施設などのスポンサー団体が発行する証明書が必要です。チャリティーワーカービザを取得したいという人は、申請前に必ずビザ取得のためにスポンサーとなってくれる団体を見つけておきましょう。

また、活動において一切給料を受け取ってはいけないというのがチャリティーワーカービザのルールです。無給ではありますが宿泊先や食事などが用意されている場合が多く、コースによっては学校に通ったり家族を同伴させさせられたりと比較的自由に過ごせるので、費用を抑えて留学したいという方にもおすすめです。

 

短期学生ビザ(6・11ヶ月)

イギリスの短期学生ビザは、6ヶ月用と11ヶ月用の2種類です。16歳以上であれば語学研修などの形で最大6ヶ月あるいは11ヶ月イギリスに滞在できます。いずれも滞在中の就労は不可、現地の学校が発行する入学許可書と資金証明があれば、英語力を証明する書類などは必要ありません。それらに加えて、11ヶ月用の短期学生ビザを申請する場合はIHSの登録とBRPsの受取が必須です。

IHSとは、イギリスに6ヶ月以上滞在する予定の留学生がイギリス国内で国営医療サービス(NHS)を利用できるシステムで、登録をすれば現地での医療費は原則無料となります。一方のBRPsとはバイオメトリックレジデンタルパーミットの略で、指紋などの生体情報が登録されたIDカードです。現地での身分証明書となるので、滞在中は常に携帯しておきましょう。

 

学生ビザ

18歳以上で現地の語学学校や大学、専門学校などで就学する人を対象としたビザです。滞在可能期間は就学期間と連動しており、基本的には6ヶ月未満の滞在であればコース開始7日前から修了7日後まで、6~12ヶ月ならコース開始1ヶ月前から修了2ヶ月後まで、12ヶ月以上ならコース開始1ヵ月前から修了4ヶ月後まで滞在できます。

申請には現地の学校で発行された入学許可証に記載されているCAS番号、資金証明、滞在証明、英文卒業証明などが必要ですが、特記すべき点は英語成績表です。一般的なTOEICやTOFELではなく「IELTS(アイエルツ)」でのスコア提出が原則なので注意しましょう。

 

ワーキングホリデービザ

18歳以上30歳以下で、扶養家族を同伴しない人が対象です。就学や就労などの制限はなく最大2年間まで滞在できるので、自分に合ったスタイルで英語力の習得とボランティア活動への参加を並行して行えるのが特徴です。その年によって募集人数が異なりますが基本的には毎年1000人程度、年に2回抽選によって選ばれます。

申請にはパスポートの他に資金残高証明1890ポンド以上(約29万円前後)、前述した「IHS」の支払い資金(2年間で600ポンド)など金銭面の提示が必須となるため、あらかじめ余裕を持った資金を用意しておきましょう。

 

ボランティア参加のための滞在費用

money ボランティア留学も一般的な留学と同様に現地での滞在費用が必要となりますが、ビザや渡英目的によって滞在費は大きく異なります。以下では、ボランティアだけが目的で福祉施設に滞在する場合、ワーキングホリデーで参加する場合、語学留学がメインで留学する場合の費用をそれぞれ解説します。

 

福祉施設などの場合、滞在費・食事が無料提供される場合も

イギリスには、福祉活動に参加しながらイギリスに滞在する「ボランティアホリデー」という仕組みがあります。この仕組みを利用すれば期間中の滞在費、食事、さらには少しではありますがポケットマネーが施設側から提供されるため、留学費用を大幅にカットできます。

滞在中は利用者の身体介助、食事、掃除など生活に則したさまざまな介護や支援を行うことになりますが、現地でトレーニングを受けるため初心者でも参加が可能です。一方、英語力に関して問われることはありませんが、目安としてTOEIC600点ほどの能力がないと現地でのやりとりは困難だと考えておきましょう。

 

ワーキングホリデーで入った時の滞在費と生活費

ワーキングホリデーで渡英する場合、どんなジャンルのボランティアであっても基本的に無料で参加できます。ただし、現地での滞在費や生活費がかかるため、以下で滞在期間と費用の目安をご紹介します。

滞在期間 滞在費 生活費
1ヶ月 500~1,400ポンド(約7~20万円) 600~1,400ポンド(約8~20万円)
3ヶ月 1,500~4,000ポンド(約21~57万円) 1,700~5,000ポンド(約24~70万円)
6ヶ月 2,800~7,000ポンド(約40~100万円) 4,000~11,000ポンド(約55~150万円)
12ヶ月 5500~14,000ポンド(約80~200万円) 6,500~14,000ポンド(約90~200万円)

滞在費とは滞在中の家賃のことで、アパートやホームステイなどで費用が大きく異なります。学生寮を利用すれば費用をある程度抑えられますが、学校に通わない場合はホームステイが最もリーズナブルです。ホームステイの費用には基本的に光熱費や一部食費も含まれるため、生活費の負担が少なくなります。一方、最も高くなるのがワンルームです。ロンドン都市部であれば家賃は1ヶ月で約15万円~、郊外であっても約10万円~と高額になるため、1人でアパートを借りたいという場合は十分な資金を用意しましょう。

 

生活費とは食費や光熱費、交通費など現地で実際に生活するにあたって必要になる費用です。ロンドン周辺は物価が高いため、郊外に滞在する場合に比べて2~3倍の費用がかかると考えておきましょう。
通信費や交通費に関しては日本と差はありませんが、食費や娯楽費などで大きく異なります。イギリスでは外食にはサービス料や消費税がかかり、ファーストフードで1,000円前後、レストランの利用で1人2,500~4,000円程度が目安です。一方で食料品には消費税がかからないため、スーパーマーケットでまとめ買いをして自炊すれば外食の半分ほどの予算で済ますことができます。また、都市部で暮らすほど娯楽費や交際費がかかるため、それらを考慮して資金の計画を立てましょう。

 

語学学校のプログラムで参加する場合は授業料を追加

イギリス滞在中に語学学校へ通い、語学学校からの紹介やプログラムなどでボランティア活動に参加する場合は、当然のことながら授業料が必要です。留学生に対する英語教育が盛んなイギリスには数多くの語学学校がありますが、授業料は学校の立地やプログラム内容、期間などによって異なります。

中には費用を抑えた格安校も存在しますが、プログラムが限定されていたり生徒数が多すぎたりとトラブルが起こる可能性も少なくありません。高ければ高いほど良い、というわけではありませんが、イギリスでは基本的に授業料が高いほど学校の質や設備が整っているため、申し込む前にしっかりと授業料とプログラム内容を確認し納得の上で学校を選びましょう。

 

イギリスへのボランティア留学の魅力

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日本にいてもボランティア活動はできますが、あえてイギリスへボランティア留学するからこその魅力があります。イギリスにボランティア留学するメリットを具体的にご紹介します。

 

英語力やコミュニケーション能力が上がる

ボランティアに参加している間は、受動的な学校の授業とは異なり実践的に英語に触れる機会が増えるため、必然的に英語力が身につきます。実際に体験しながらそれぞれの場面に合ったコミュニケーションが取れるようになり、より日常生活に則した言い回しやフレーズを経験とともに自然に身に付けられるのも特徴です。

また、福祉や国際問題などに興味がある人にとっては、現地で専門用語を身に付けることもでき、大きなステップアップとなることは間違いありません。

 

地域・社会貢献につながる

イギリスに限ったことではありませんが、ボランティア活動に参加する最大の魅力は気軽に地域や社会貢献ができることです。何か役に立ちたいという気持ちで参加することで、誰かと助け合ったり自分が誰かに必要とされる気持ちなど、一般的な仕事では決して得ることのできない満足感があります。

また、ボランティア活動が思った以上に楽しかったと感じる人も多く、人とのつながりや一緒に活動した仲間たちとの信頼関係、達成感など終えた時にはさまざまな心境の変化があります。

 

イギリスの慈善活動について学べる

イギリスでボランティア活動に参加することで、イギリス特有の慈善の精神を体感することができます。イギリスには現在約50万もの慈善団体があると言われており、その対象は子どもや高齢者、障がい者などさまざまですが、どの活動も助け合いの精神が根本にあります。

「困っている人や助けを費用としている人がいたら、身分に応じた社会的責任と義務を果たす」そんなイギリスの精神を本質から学ぶには、実際にボランティア活動に参加するのが1番です。

 

イギリスのボランティア活動の探し方

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ボランティアが盛んなイギリスですが、ボランティア団体が多い分、内容や規模など条件にぴったり合った活動を探すのは容易ではありません。ここでは留学生におすすめボランティア活動の探し方を3つご紹介します。

 

エージェントに紹介してもらう

現地のボランティア活動を探すのに最も手軽なのが、エージェントに紹介してもらう方法です。エージェントを利用する際、一般的には利用料が発生しますが、最近は手数料無料のエージェントも増えているので気軽に相談してみましょう。エージェントを利用することでボランティア留学を一括してサポートしてもらえるため、ボランティア活動だけでなく現地で困ったことがあった場合のフォローも受けられて安心です。

 

語学学校などから紹介してもらう

現地で語学学校に通う場合は、学校のつながりでボランティア先を紹介してもらえます。ボランティア団体から学校宛てに依頼が来ていることも多く、独自のルートで見つけるよりも興味がある分野の活動を探しやすい、信頼感がある、などのメリットがあります。また、校内の掲示板などでボランティアを募集していることも多いのでチェックしてみましょう。

 

自分で探す

他からの紹介を利用せず自分で探す場合は、インターネットがおすすめです。以下に、イギリスで特に利用者が多く人気のあるボランティア団体をご紹介します。

団体名 概要
Oxfam 1942年にイギリスで設立、世界93ヶ国で活動する国際協力団体。世界から「貧困」をなくすために幅広く活動しています。
WWOOF イギリス発祥の農場支援ボランティア団体。農場に滞在し、労働する代わりに滞在費と食費を無料で提供してもらうシステムです。動物・農産物などのジャンルがあります。
Volunteering Matters 国内60ヶ所にオフィスを持つ、イギリス最大のボランティア推進団体。障がい者や高齢者のサポートがメインです。施設に滞在し、滞在中の宿泊先、食事、生活補助金が提供されます。
The Conservation Volunteers イギリス最大の自然環境保全団体。植林、海や川の清掃、生物のための生活環境改善など環境保護を目的としたボランティアを行っています。

 

まとめ

イギリスへボランティア留学するためには主に4種類のビザがあり、申請するビザや現地での過ごし方によって滞在費や生活費が異なります。自分に合ったボランティアを見つけて、英語力のアップはもちろん、現地での社会貢献を通じて慈善の精神を学び帰国後のステップアップに活かしましょう。

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FlyOut編集部

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