「大学に籍を置きながら」海外へ留学する、休学留学への関心が高まっています。
休学留学には「新卒就活の権利の保持」や「時間のある学生生活を延長できる」などのメリットがある反面、「余分な学費の支払い」や「同級生との卒業時期のズレ」などのデメリットもあります。
以下でメリット・デメリットの詳しいポイントや休学留学の流れを見ていきましょう。
この記事に登場する専門家
検証方法
休学留学の経験のある人50人を対象にアンケート調査を実施。
その結果をグラフ化して記事内で使用。
目次
休学留学とは?
休学留学とは大学に籍を置いたまま、休学して留学することを指します。
休学できる期間の上限は大学によって異なりますが、4年制大学であれば2~4年の学校が多いです。
日本の大学に通っているだけでは学べないことを学べるのが魅力の一つでしょう。
交換留学との違い
交換留学では提携している海外の大学に一定期間、現地学生として通えます。しかし、在籍している大学によって留学できる地域・大学が異なる、大学の規定に縛られる、留学期間が決まっているなどの制限があります。また一般的に交換留学の派遣生徒数は大学ごとに決まっており、人気の地域・大学は学力などによって留学枠を争わなければなりません。
一方で休学留学は目的によって留学地域・期間を自由に決定でき、留学枠を争うことがありません。さらに国によっては、ワーホリビザまたは学生ビザで留学すると現地で働く経験もできます。
総じて休学留学の方が自由度が高いですが、主に学費等の費用が高くなることが多いです。
休学留学の目的
休学留学を経験したことのある人50人に「休学留学をした目的」についてのアンケートを実施しました。
50人中49人が休学留学の目的を語学留学と回答しています。一方で長期インターンや起業などのビジネス目的で休学留学をした人はほとんどいませんでした。
この結果から、大学生が休学して留学する目的は「語学力の向上」が大部分を占めることが分かります。
休学留学の目的を決める
まずは休学留学の目的を明確に定めることが大切です。具体的に、「留学を通じて自分が何を身に付けたいのか」「何を学びたいのか」「何を経験したいのか」を掘り下げることで自らの留学の軸を持てます。
休学は自由な時間が多く得られるからこそ、明確に芯を持って行動しなければ無駄な時間を過ごすだけになってしまうでしょう。
語学留学
現地語を学ぶための語学学校に通って、他の留学生と一緒に授業を受けるスタイルです。一般的に語学取得のためのスピーキングやリスニングなどをレベル別のクラスで勉強します。
当然、語学学校に通っている生徒は非ネイティブなので、ネイティブと出会うためには何らかのアクションを起こさなければなりません。
長期海外インターン
現地の企業でインターン(就業体験)をするスタイルです。インターンには有給と無給の場合があります。長期の海外インターンを学生のうちに経験したい場合は、休学留学しか選択肢はありません。
休学留学のメリット
休学留学をするメリットを見ていきましょう。
大学に籍を置いておける
留学中も大学に自分の籍は残るため、「学生」という人生で最も時間があり自由な肩書きを保持できます。
また就活時にも「既卒」ではなく「新卒」扱いになるため新卒就活にエントリーでき、他の就活生に比べて不利になりません。
自由度が高い
大学の規定や制限がないため、目的に合わせて留学地域・期間などを自由にカスタマイズできます。
交換留学のタイミングを逃した人でも留学のチャンス
交換留学は限られた留学枠を求め、学生内で厳しい倍率を勝ち抜かなければ希望の地域・大学に行けません。選考には成績や語学能力に加えて志望理由書も考慮されることが多いです。
このような厳しい競争の中で交換留学の機会を逃した人でも、休学することで留学するチャンスがあります。
休学留学のデメリット
反対に休学留学のデメリットを見ていきましょう。
余分に学費がかかる
交換留学では日本の大学に学費を払うことが一般的です。しかし個人で語学留学をする場合には、現地の学校の学費が別途かかります。同時に日本の大学にも休学費用を支払わなければなりません。休学費用は数万円〜全額と大学によって大きく異なるため確認が必要です。
同級生と卒業時期がズレる
休学すると学年がズレるため、ゼミやサークルなどの大学でのコミュニティが狭まることがあります。
当然卒業年度もズレるため、卒業式の日に同級生が少なく、寂しく感じる場合もあるでしょう。
就活時の説明に工夫が必要
休学留学を経験したことのある人50人に「休学によって就活時に不利と感じたかどうか」についてアンケートを実施しました。
そのうち38人が「いいえ」、12人が「はい」と回答しています。
この結果から分かることは、76%の人が「休学経験は就活時に不利に働かなかった」と感じていることです。
休学をしたということは、4年卒業の就活生と異なり、良くも悪くもブランク期間があるということです。
当然、その期間に何かを学んだり身に付けたりしなければ、就活の面接官が「たださぼっていた期間」として捉えてしまう可能性もあります。
必ず、休学留学を通じて何かを得て、面接官を説得できるように話せるようにしておきましょう。
休学留学におすすめのタイミング
休学留学をするのにおすすめの期間やタイミングについて紹介します。
どれくらい休学するのか
休学留学を経験したことのある人50人に「実際に休学留学をした期間」についてアンケートを実施しました。
結果、1位は「1年」で52%、2位は「半年」で30%となりました。一方で「1年半以上」と回答した人は全体の18%にとどまっています。
この結果から「半年~1年」という短期・中期の休学留学が主流ということが読み取れます。
半年
短期集中で英語力UPを目指す人、海外インターンなどをする人向けの期間です。
また、なるべく卒業時期を伸ばしたくない人や卒業時期が迫っている人にも向いています。
1年
あらゆる選択肢の中で最もベーシックな期間でしょう。語学を日常会話で使えるレベルまで向上させるために、最低限必要な期間と言われています。
1年あれば、語学習得、就業経験など、ある程度の目的は達成可能です。
1年半年以上
語学力を日常会話レベルにとどまらず、ビジネスレベルなどにまで上げたい人向けの期間です。
もしくは、将来的に現地企業へ就職を目指したい人向けでしょう。
休学のタイミング
1年間の休学留学を想定すると、パターンは3通り考えられます。
大学2年生の前
学生生活がまだ大半残っている状態で休学留学することで、学生時代にやりたいことの幅が広がります。また卒業後の進路の視野も早めに広げられるでしょう。
ただし通学期間が最初の1年しかないため、人間関係を築く機会が減り、大学でもコミュニティが狭くなってしまう恐れがあります。
大学3年生の前
入学後の2年間で大学での交友関係もある程度築いておけるはずです。また留学までにアルバイトなどをして資金を貯める余裕もあります。
さらに、帰国後から本格的に新卒採用が始まるまで十分な時間があるため、就活に支障がありません。
日本ではお酒にも慣れ一番楽しい時期と言われていますが、大学三年生で21歳を過ぎると、多くの国で飲酒が合法になるため海外でも十分に楽しい生活を送れるでしょう。
大学4年生の前
大学に籍を残しつつ長期留学できる最後のチャンスです。
ただし日本では、インターン選考などを大学3年生の夏頃からスタートする企業が多いため、就活のタイミングが難しくなります。
Fly Out編集部としては・・・
休学留学は「できる限り早く」出発することをおすすめします。
人間関係はライフステージに合わせて変わっていくでしょう。大学内で交友関係を広めたいのであれば、同学年でなくても友達を作る方法はたくさんあります。
むしろ、できるだけ早いうちに海外の世界を知り、人生の幅を広げることが大切です。
休学留学の流れ
休学留学の流れを説明します。
①留学の目的を決める
まずは留学する目的を明確に定めましょう。「なぜ日本を出て海外に行く必要があるのか」「海外でしか得られないスキルがあるのか、経験できないことがあるのか」を考えて、留学のビジョンを広げることが大切です。
②休学する期間・タイミングを決める
休学するタイミングを決めるためには、どのくらいの期間留学したいのかを考える必要があります。休学留学のメリット・デメリットを考慮して自分に最適な期間とタイミングを決めましょう。
③留学する国を決める
留学で得たいスキルや経験をもとに留学する国・地域を決めます。使用言語や物価、気候などのポイントも留学先を決める上で重要です。
④留学形態(ビザ)を決める
留学する国が決まったら留学に使用するビザ(留学形態)を決めましょう。
休学留学を経験したことのある人50人に「休学留学に使用したビザ」についてアンケートを実施しました。
結果は、学生ビザが62%、ワーキングホリデービザが14%、観光ビザが24%を占めています。
ビザの期間は国と種類により異なります。観光ビザは国によりますが、3ヶ月から半年しか留学できないため注意が必要です。
また、学生ビザは現地でアルバイトできる時間が制限されます。休学留学は語学の勉強に集中したい人が多いため、学生ビザを選ぶ人が過半数を占めたと推測できます。
反対にワーキングホリデービザは、現地での労働時間が制限されないため、現地で存分に働きたい人が選ぶようです。
基本的には各国一生に一度しかビザを取得できないので、そこまで働く予定のない人は学生ビザが無難でしょう。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
⑤休学を大学に申請する
留学の具体的な形態が決まったら、早速大学に休学の申請をしましょう。申請期間や休学費用の納入期限は厳格に決まっているため、余裕を持って行動する必要があります。
⑥留学の準備を進める
正式に休学留学が決まったら、できる限り早く留学の準備を始めましょう。ビザや海外旅行保険の準備に加え、留学先での各種支払い手段や必需品・便利グッズの調達をします。また語学学校に通う予定の人は出願方法を調べ、必要書類の準備なども必要です。留学までの時間は長いようで短く、出発の時はあっという間にやってきます。出発直前に準備忘れで焦ることがないよう、やるべきことをリストアップしておきましょう。
休学留学の体験談
実際に休学留学を経験した方々の体験談を紹介します。
じっくりト学んだことによって語学力が格段に伸びました。留学前は就活が不安でしたが、留学したことで自信がつき自分のアピールポイントの一つになったと感じています。
休学留学だと交換留学と違い単位をとることに必死にならなくて良い為時間にも心にも余裕があり、とにかく行動すれば色んな体験ができます。1年くらいであれば就職で不利になるどころか自分に自信が持てるので有利です。交換留学に比べて全てが自分次第という部分があり、社会人になるとなかなか留学するのは難しいので留学中は時間を大切にして行動してください。
一年くらいの休学は、将来を広い目で見ると何も悪影響になりません。しっかり集中して学ぶことで、むしろプラスになると感じました。
休学留学は留学エージェントへの相談も検討すべき
休学留学に強い留学エージェントもあります。迷ったら相談するのもおすすめです。
どのエージェントがおすすめなのか、もしくは留学についてざっくばらんに相談したい場合はFly Out編集部までお問い合わせください。
まとめ
休学留学を検討する上で、「なぜ今このタイミングで休学をしてまで留学に行くのか」という質問に明確に答えられるようにしましょう。
しっかりと準備をして、悔いのない休学留学をしてください。
FlyOut編集部
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